非認知スキルの実行機能の育て方や鍛え方ってどうやるの?実行機能の発達から考える。

Education-教育
この記事は約5分で読めます。

前回の記事で、非認知能力とは何か、そしてその中でも将来を予測する上で大事な因子となる実行機能とは何かを説明しました。

前回の記事↓

今回は、その実行機能をどのように育てるか、という点を見ていきたいと思います。

と、その前に、そもそも実行機能が脳のどの部分が関係していて、どのように発達していくのかを簡単に知ってから、育て方に入ろうと思います。

スポンサーリンク

ここで言う実行機能は脳のどの部分のことなのか?

以前のブログでも書いたように、実行機能には感情の側面と思考の側面があります。

では、それぞれの脳の部位はどこなのでしょうか。

実行機能の感情の側面では、腹側線条体が関係しているようです。

腹側線条体は、食事やセックスなどの報酬と関係しています。

その他にも、人から褒められたり、金銭を得たりすることにも反応する場所だと言われています。

実行機能の思考の側面では、外側前頭前野と頭頂葉の一部からなる中央実行系回路が関係しているようです。

前頭前野と言えば、思考したり、記憶したり、感情をコントロールしたりするところで知られています。

大事なポイントとして、この前頭前野は、ストレスがかかると働きが鈍ると言われています。

この点については、後ほど改めて触れたいと思います。

スポンサーリンク

実行機能の発達

実行機能の特に児童期や思春期・青年期の発達を見ていきましょう。

児童期

実行機能は、児童期までに急激に伸びて、その後は緩やかに発達します。

小学校に上がる頃には、授業を受けたり集団生活をしたりするくらいの実行機能は発達しているという訳ですね。

その後、段々と実行機能が発達していき、小学校高学年や中学生になると、多くの子供は自分をコントロールする力を身に付けてきています。

思春期・青年期

そして、思春期になると性ホルモンの分泌量が増えます。

その性ホルモンの高まりと、衝動性の高まりに相関があるので、この時期には衝動性が高まることが分かります。

そして、報酬系回路である復側線状態は中学生で最も強いとされています。

しかし、衝動性にブレーキの役目をする前頭前野は少し遅れて発達していきます。

つまり、思春期・青年期にかけてアクセルとブレーキの役割をする脳の発達のアンバランスがあるということです。

このように脳の発達から考えると、思春期ってちょっとは荒れて当然ですね。

そして、青年期は家族より仲間が中心になる時期でもあります。

実行機能は仲間関係にも影響を受けやすく、仲間内だと衝動を抑える力が弱まり、逆に衝動が強くなることが知られています。

中高大と誰と一緒にいるかがとっても大事なことが分かりますね。

スポンサーリンク

実行機能の育て方

ここでようやく実行機能の育て方について見ていきたいと思います。

これまで、実行機能の発達について見てきました。

その中で、考えたり感情をコントロールしたり、衝動を抑えたりする前頭前野はストレスに弱いと書きました。

ですので、特に幼児期のストレスは、前頭前野に悪い影響を与え、実行機能の低下を及ぼしかねないのです。

特にネグレクトが実行機能の発達に悪影響を及ぼします。

それは、一般的には養育者との愛着関係を築く中で、自分の感情をコントロールする感覚が分かるようになるのですが、ネグレクトを受けた場合にはそれが育ちません。

不安なことなどがあった時に、養育者にしがみついて安心するという情緒的な関係が育まれないのです。

ですので、実行機能を育てるという意味では、子供が泣いたり不安になったりした時に、安心させてあげることが大事になります。

何だか、普段していることが大事なことなんだと改めて気づかされます。

そして、実行機能を育てるには支援的な子育てが大事になります。

それは、見守ったり、難しそうならヒントを出したりすることです。

これって、過干渉はダメってことですよね。

何でもかんでも先回りしてやってあげるとか。

ちゃんと失敗させてあげる。そして失敗を振り返ることをして実行機能を育てていくのです。

いやー、親の実行機能が試されます。

ネグレクトの他にも、親の精神不安定、テレビやスマホなどの長時間視聴、睡眠不足などが実行機能の発達を妨げると言われています。

スポンサーリンク

実行機能の鍛え方

それでは、実行機能の鍛え方はどうでしょうか。

先に挙げたように、まずは失敗を振り返ることが大事になります。

その他にも、

・単純な運動

・スポーツ、

・音楽

・マインドフルネス

などが実行機能を鍛えるのに良いとされています。

スポンサーリンク

実行機能を鍛えるのではなくて、予防する

実行機能とは、何かしらの目標を達成するために自分をコントロールする機能のことを指します。

ですので、実行機能を正常に働かせる大事な点として、実行機能を鍛えるだけでなく、予防するという視点を持つことが挙げられます。

具体的には

  • 誘惑を避ける
  • ストレスを避ける

という観点を持つと取り組みやすいと思います。

誘惑を避けるとは、例えばダイエットの時にチョコレートを買わないとか(当たり前か)、そもそもスーパーでお菓子売り場に行かないとかです。

目標を妨げるような誘惑に近づかないということです。

食欲、性欲、承認欲求、ゲーム、SNSなどなど、現代は誘惑ばかりですが、そもそもそれを目に入れないような工夫が私たちはできるのではないでしょうか。

ストレスを避けるのは、先にも書いたように前頭前野はストレスの影響を受けると、実行機能が下がるからです。

そのために、ストレスをあまり抱えない工夫、適宜休息を取ったり、ちゃんと睡眠を取ったりすることが大事なのです。

スポンサーリンク

まとめ

・思春期・青年期にかけてアクセルとブレーキの役割をする脳の発達のアンバランスがある

・前頭前野はストレスによりその機能低下を引き起こす

・子育てにおいては、健全な愛着関係を築いて、支援的に関わる。

・実行機能を鍛えるだけじゃなくて、予防することが大事

以上になります。

いかがでしたでしょうか。

私は日頃の子育てが大事なのだと、改めて気づかされました。

私自身は、スポーツ、マインドフルネスに取り組んでいきたいと思います。

そして、予防も忘れずに。

最後に、こちらにも参考文献を載せておきます。

より詳しい内容が書かれていますので、ぜひ手に取ってお読みください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました