企業の人事研修や学校の教員研修などでアサーショントレーニングというものを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
ここでは、自分も相手も気持ちの良いコミュニケーションを目指す、アサーションについて解説していきます。
アサーション・アサーション権とは
アサーションとは、英語の“assertion”のことで、辞書で調べると“主張”などと出てきす。
アサーショントレーニングとは、自己表現トレーニングなどと訳されることもあります。
アサーショントレーニングなどと聞くと、スキル的な面が強く印象に残りますが、実はアサーションは権利でもあるのです。
どんな権利かと言うと、基本的人権とも言うべきもので、人はみな自他の権利を侵さない限りにおいて、自己表現をしても良いというものです。
この人権は1970年頃のアメリカにおいて、人種差別反対運動や女性解放運動を支える基本的人権として認められたものです。
また、世界人権宣言においても、全ての人は法の下において平等であり、意見及び表現の自由に対する権利を有するとあります。
ですので、アサーション権とは、私たちが生まれながらに持っている権利の一つであり、人は誰でも尊重される存在であり、自己表現してもよいということです。
アサーティブネスとは
アサーション権を人生の態度として表し、どれだけアサーティブかということを表すアサーティブネス。
アサーションはコミュニケーションのテクニックなだけでなく、土台にアサーション権という権利があり、そしてそこからアサーティブな行動やコミュニケーションが生まれるのです。
アサーティブな行動とは、以下のようなポイントが挙げられます。
- 自己を表現する
- 他者の権利を尊重し平等であるという認識を持つ
- 自分に正直である
- 直接的で確固としたコミュニケーションをする
- 状況や人に応じて自分の行動を選択する
このような態度や行動を持って、周りの人や社会と関わっていくことがアサーティブな人生の始まりになります。
しかし、これらの行動は学んで身に付けるものです。
ですので、周りに理解されないかもしれませんし、失敗もするかもしれません。
それでも日々、試行錯誤し、粘り強く進めていくことが大切です。
一生をかけて、取り組むべき課題とも言えるでしょう。
アサーティブな表現とは
さて、そのようなアサーション権とは、どのような表現なのでしょうか。
アサーティブな表現などと言われますがが、これを理解する上で3つのタイプの自己表現を見てみましょう。
- 攻撃的な自己表現
- 非主張的な自己表現
- アサーティブな自己表現
攻撃的な自己表現
攻撃的な自己表現とは、自分は大切にするが、相手を大切にしない自己表現のことです。
《特徴》
- 相手を支配しようとする、押し付けがましい
- 声を荒げる、ののしる
- 相手の話を聞こうとしない、無視する
- 絶対に妥協しない
このような特徴があり、自分の意見ばかり主張して、周りがストレスを溜めることになります。
非主張的な自己表現
日主張的な自己表現とは、相手は大切にするが、自分を大切にしない自己表現のことです。
《特徴》
- ノーと言えない、自分の考えや気持ちを言えない
- ストレートに言わず遠回しに言う
- 相手に合わせる、降参する、あきらめる
- 自分を犠牲にする → 相手を恨む、めそめそする
これらの特徴があり、自己表現を抑えることで、自分がストレスを溜めてしまいます。
ストレスを溜めることで、頭痛や腹痛などの身体症状として表れることもあります。
アサーティブな自己表現
アサーティブな自己表現とは、自分のことも相手のことも大切にする自己表現のことです。
《特徴》
- 穏やかに意見をする、現実的な目標を追求する
- 自分にも相手にも素直である、率直である
- 必要ならば、譲歩・妥協してもいいと考える
これらの特徴があり、お互いに気持ちが良いコミュニケーションと言えるでしょう。
まとめ
アサーションとは、単なるコミュニケーションスキルではなく、アサーション権という、生まれながらにして持っている基本的人権が土台にあります。
そこから、アサーティブな態度や表現が生まれてくるのです。
人々がアサーティブな表現を身に付けて、自分も他人も尊重できる世の中になっていくといいですね。
皆さんも、アサーティブな人生を一緒に歩んでいきませんか。
参考文献
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